いよいよ作品展が近づいてきました。8回にわたってお伝えしてきたシリーズも、今回で最終回です。
自然と出会い、五感で感じ、思いを形にし、物語を広げ、異なる文化やデジタルの世界にも触れ、友達と協力して取り組む…。子どもたちの日常は、表現活動であふれています。そしてその表現は、「創造性(クリエイティビティ)」と「技術の向上」 という二つの車輪が一緒に回ることで、より豊かに育まれていきます。

作品展は、その日常の積み重ねを「今」というかたちで切り取る場です。展示されている作品は、大人の基準で評価するためのものではありません。一つひとつが「子どもが自分の心を外に表した証」であり、「今しか見られない姿の記録」なんです。

今年度のテーマは「MEGUMI CRAFT(メグミクラフト)」。マインクラフトのように、ブロックを自由に組み立てて世界をつくる遊びをイメージしながら、十和田めぐみ保育園での子どもたちの表現活動を重ね合わせました。デジタルの世界で自由に発想を広げるように、リアルな世界でも手を動かし、工夫を重ねながら自分だけの作品をつくる。そんな子どもたちの「自由な創造」と「手ごたえある表現」の両方を大切にしたいという思いが込められています。

とりわけ、うぐいす組(年長)とひばり組(年中)が取り組む「大型製作」は、園を代表する表現活動です。自分たちで「何を作るか」を決め、設計図を描き、協力して組み立て、色を塗り、最後には遊び方を考えてプレゼンテーションをします。完成した後も、自分たちの作品で遊び尽くすことができるのも大型製作の魅力です。作品展に来られる皆さんには、作品そのものの迫力と同時に、そこに至るまでの子どもたちの話し合い、工夫、挑戦、そして遊ぶ姿を想像して楽しんでいただければと思います。

どうか作品展では、作品を「評価する目」で見るのではなく、「子どもの今を味わう目」でご覧ください。線が曲がっていても、色がはみ出していても、それはその子にしかない表現です。そして、「楽しそうに描いたね」「こんな工夫をしたんだね」と共感の言葉をかけていただければ、子どもは自分の表現を誇りに思い、また新しい挑戦へと歩んでいきます。

保護者の皆さんにとっても、この作品展はお子さんの「今の姿」に出会う時間です。数年後にはもう見られなくなる、その年齢ならではの表現があります。どうぞ一緒に驚き、一緒に笑い、「すてきだね」と感じながら、このひとときを味わってください。

「メグミクラフト」というテーマのもとに集まった子どもたちの世界。そこに広がっているのは、自由でユニークで、そして無限の可能性を秘めた表現です。今年の作品展で、子どもたちの「今」と出会えることを、私たち職員も心から楽しみにしています。